コレステロールが高い人は卵を食べても大丈夫?卵の摂取量について考える

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コレステロールが高い人は卵を食べても大丈夫?

卵は手軽に食べられる栄養豊富な食材ですが、コレステロールが高い人は食べない方がいいというイメージがありませんか?実は、卵の摂取量には個人差があり、一概に制限する必要はないかもしれません。今回は、卵とコレステロールの関係について、最新の研究や学会の見解をもとに解説します。

卵に含まれるコレステロールの量と基準値

卵1個(約50g)あたりのコレステロール値は185mgです。これは、他のたんぱく源と比べてもかなり多い量です。例えば、脂身付きの豚バラ肉1食(100g)あたりのコレステロール値は70mg、塩サケ1切(80g)あたりのコレステロール値は51mgです。

では、1日にどれくらいのコレステロールを摂っても大丈夫なのでしょうか?実は、現在コレステロールの摂取量の基準値は定められていません。日本人の食事摂取基準(2015年版)では、生活習慣病予防のための目標量として1日男性750mg、女性600mgを上限としていた食事からのコレステロールの目標量を、設定するのに十分な科学的根拠が得られなかったためという理由で撤廃しています。

ただし、日本動脈硬化学会は、脂質異常症の重症化予防を目的として、コレステロールを200mg/日未満に留めることが望ましいとしています。脂質異常症とは、血液中で脂質(コレステロールや中性脂肪)の濃度に異常が起きている状態で、動脈硬化や心筋梗塞などの循環器疾患のリスクを高めるものです。

体内で生産されるコレステロールとその調節

食事から摂ったコレステロールがすべて血液中のコレステロールになるわけではありません。実は、体内でもコレステロールは生産されており、その量は食事から摂取するコレステロールの3~7倍です。

また、コレステロールの量は体内で常に一定に保たれるように調節されています。食事からのコレステロールの摂取量が多い場合には、体内での生産量は少なくなり、反対に食事からのコレステロールの摂取量が少ない場合には、体内での生産量が多くなるように調節されています。

コレステロールは体にとって必要な栄養素であり、細胞膜の主要な構成成分であり、細胞やホルモン、ビタミンの原料になります。そのため、体内で生産されるコレステロールは、食事からのコレステロールとは別の役割を果たしていると考えられます。

卵の摂取量についての注意点とおすすめ

卵はコレステロールや飽和脂肪酸を多く含みますが、良質のたんぱく質やビタミン類を多く含んでおり、非常に優れた完全栄養食品でもあります。卵には、筋肉や骨、皮膚などの組織を作るたんぱく質や、免疫力を高めるビタミンA、神経系の働きを助けるビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンEなどが豊富に含まれています。

卵の摂取量については、一概に何個までなら大丈夫とは言えません。健康な成人の場合は、卵1個あたりのコレステロール量185gなら問題はありません。しかし、高齢者やたんぱく質不足になりやすい人は、卵の摂取を制限してしまうと栄養不足になってしまう可能性があります。

したがって、バランスのよい食生活に配慮することが重要です。卵だけではなく、他の食材との組み合わせや調理方法も考えましょう。例えば、野菜や海草などの食物繊維を一緒に摂ることで、コレステロールの吸収を抑えることができます。また、油で揚げたりバターで炒めたりするよりも、茹でたり焼いたりする方がカロリーや脂質の摂取量を抑えることができます。

自分にとって適切な量を見つけるために、管理栄養士など適切な知識を持つ人に相談することもおすすめです。

卵は手軽に食べられる栄養豊富な食材ですが、コレステロールが高い人は食べ過ぎに注意しましょう。一方で、卵を全く食べないということも避けましょう。卵は体に必要なたんぱく質やビタミン類を多く含む優秀な食材です。バランスのよい食生活を心がけて、卵料理を楽しみましょう。

参考文献:

日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
コレステロール問題、卵は食べて良いか?NGか?どっち?(院長ブログ) - 五本木クリニック
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準2015」で、コレステロールの摂取量に関しては上限を決めるための科学的な根拠

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