「契約の箱」の番人は生涯教会から出られない

雑学

「契約の箱」の番人は死ぬまで教会から出られない。「聖櫃」の番人として一生を過ごす。そんな、まるで映画かなにかのような人がいることをご存知でしょうか?

エチオピアの「シオンの聖マリア教会」

シオンの聖マリア教会は、エチオピアのティグレ地方アクスムの町にあるエチオピア正教会の教会で、アフリカで最も古いとされるキリスト教の聖地です。

女人禁制の場所とされており、女性は入ることができません。
エチオピアの周辺の国はイスラム教が多いのですが、以外にもエチオピアではキリスト教徒が一番多く人口の半分以上を占めています。
この教会には「聖櫃」が収められているとされています。
キリスト教の聖櫃とは、特別な箱のことです。聖櫃には、キリスト教では重要な意味を持つものが収められています。聖櫃の中には聖櫃は神の存在や契約を象徴するものが収められているとされています。聖櫃と呼ばれるものは世界中にいくつか存在しますが、その中でも「契約の箱」と呼ばれているものがこの教会に保存されているとしています。
「契約の箱」とは、「旧約聖書」に書かれている「モーセの十戒」の書かれた石板が収められている箱のことです。モーセといえば杖を振りかざして海を割ったことで有名な人ですね!

任命された番人は一生を教会の中で過ごす

契約の箱の礼拝堂

「契約の箱」は「契約の箱の礼拝堂」という場所に収められています。一般公開されていないどころか、教会の修道士さえ見ることはできません。たった1人だけ、契約の箱を守る役目の番人だけが「契約の箱」を見ることができます。
この契約の箱の番人に選ばれた人は、その後の生涯を「契約の箱の礼拝堂」で過ごし、外に出ることはないとされています。番人は毎日契約の箱の前で祈りをささげます。
現代社会の恩恵を受けて生活している私たちからすると考えられないような人生ですが、このように契約の箱のために人生を捧げる人がいらっしゃるのですね。
番人に関しては不思議な話が知られています。この契約の箱の番人は、皆、白内障にかかるというものです。これは契約の箱と何か関係があるのでしょうか…?

現代でも「契約の箱」を狙った殺戮が行われた?!

現代のエチオピアは治安が低下しています。2020年から2022年にかけて、シオンの聖マリア教会があるティグレ地方でも「ティグレ紛争」と呼ばれる紛争が起こり、2020年11月から12月にかけて教会のあるアスクムの町でも大虐殺が行われたのです。
この虐殺で何人が犠牲になったか正確な数字は出ていませんが、教会でも多くの犠牲者が出たとされています。11月28日には町で無差別銃撃が行われ、1,000人を超える住人がシオンの聖マリア教会に避難してきました。そこを襲撃され、教会に避難していたうちのなんと750人が殺害されました…!なんとも痛ましい事件です。
この教会への襲撃ですが、現地の人の間では「契約の箱が狙われたのではないか」と言われているそうです。

今回は聖櫃「契約の箱」が収められているエチオピアの教会とその番人についてご紹介しました。

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