8000円のイヤホンが安く感じられる理由

雑学

「8000円のイヤホン」と聞いて、高いと思いますか?それとも安いと感じるでしょうか?8000円のイヤホンを安いと感じる理由を紹介します。

突然ですが質問です

Q.日本にある一級河川は1000より多いでしょうか?数はどれくらいあると思いますか?
ググったりせずに直感で答えてください。

さて、この質問には仕掛けがあります。一級河川の数を聞く前に「1000より多いでしょうか?」と聞いています。これが以下のような質問だったらどうだったでしょうか。

Q.日本にある一級河川は5000より多いでしょうか?数はどれくらいあると思いますか?

あなたの答えは変わっていたと思いますか?それとも、どちらの質問でもおなじ答えだったと思いますか?
さまざまな研究で「先に低い値を提示した場合の方が低く答える場合が多く、逆に、高い値を先に提示した場合の方が高く答える場合が多い」という結果になっています。
これをアンカリング調整と言います。
アンカリング調整とは、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことを指す認知バイアスの一種です。

8000円のイヤホンが安く感じる理由

あなたが、電気屋さんにイヤホンを買いに行ったとします。3万円のイヤホンと8000円のイヤホンが並んでいました。3万円のイヤホンは最新機種で音質も良く、機能も多彩で、見た目もおしゃれです。一方、8000円のエントリーモデルのイヤホンは最新機種ほどの機能はなく、見た目も無難な作りですが、音楽を普通に聞く分には問題ありません。
「うーん、今回はそこまでの機能は必要ないし、この安い8000円の方にしよう!」
と、考えてしまうかもしれません。
しかし、8000円は安くありません。8000円は8000円であり、それ以上高いわけでも低いわけでもないのです。それを忘れないようにしましょう。
最新機種よりエントリーモデルがお得に見えるのは、アンカリング調整が働いている可能性があります。最新機種の価格が高いアンカーとなって、エントリーモデルの価格を比較的安く感じさせるからです。
安く感じたからといってすぐにその商品を買ってしまうのはおすすめしません。本当に自分の欲しい機能であるか、欲しいデザインであるか、同価格帯の他の商品はどうなっているか、そもそも安いという理由だけで買っていないか、本当にその商品は自分に必要なのか?などさまざまな角度から購入するかどうかを考える必要があります。

身近に存在するアンカリング調整

アンカリング調整でよく使われる手段としては、セールがあります。オンラインショッピングサイトなどでは、「30000円の商品をタイムセールで60%引きの12000円!」といったようなセールをよく見かけるでしょう。これは、先に「30000円」という価格を提示しておくことで「12000円」が安く感じるのです。
また、同じ現象はいわゆる「沼」でも見られます。例えばロードバイクは高価なものになると100万円を超えるものもあります。「それに比べたら30万円のロードバイクは安いものだ」と考えてしまうかもしれません。また、同じ趣味の周囲の人が「沼」にたくさんお金を払っていたら「あの人たちはたくさんお金を払っているのだから、自分もこれくらいは払っても問題ないだろう」と考えてしまうのも同じくアンカーが高くなっている状態と言えます。
しかし、イヤホンの例と同じく、アンカーに引っ張られてしまうと本来の判断能力が働かず、思いがけず多額の出費になってしまうこともあります。
「これは安い!」と飛びつくのではなく、一歩足を止めてじっくりと判断しましょう。

今回はアンカリング調整について紹介しました。アンカリング調整は他にも様々なところで利用されています。身の回りで同じような現象が起きていないか探してみてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました