遠い外国で地震が起こったとき、日本にも津波警報が出されることがありますよね。これは、遠い国で地震が起きても日本に思わぬ災害を引き起こすことがあるからなのです。では、具体的にはどのような影響があったのでしょうか。
今回は1960年に起こったチリ地震津波について紹介します。
1960年チリ地震とは?
1960年チリ地震は1960年5月22日(現地時間)にチリ南部沖合で発生した観測史上世界最大の地震で、マグニチュード9.5を記録しました。のちの調査で幅200km長さ800kmに渡って断層が20mずれた事により発生したことがわかりました。
この地震は、驚くべきことに揺れが11〜13分間も続いたのです。地震による直接的な犠牲者は1,743名にのぼります。被害地域はチリ全土でしたが、特にバルディビアやプエルトモントなど南部の都市が激しく揺れました。
この地震は、チリ近郊の巨大な断層のずれによって引き起こされました。この断層が上下にずれると、海底に大きな変動が起こります。この変動は地震や津波だけでなく、火山噴火や地殻変動も引き起こします。実際に、この地震の38時間後にコルドン・カウジェ山が噴火しました。その後1年以内にも近隣の複数の火山が噴火しました。
巨大な断層が近くにあることからチリは地震大国と知られ、この地震以降も多くの地震が発生しています。
23時間後の到達、予期せぬ津波に大きな被害
チリで発生した津波は太平洋の島や海底の地形など様々な要因に影響されながら太平洋を横断して日本やハワイなどの環太平洋地域に襲来しました。
日本では、地震発生から約23時間後の5月24日未明に最初の波が到達しました。この津波は近海で起こった津波より周期が長く、湾や岬などの地形によって高さや到達時間が異なりました。同じ日本国内でも場所によって到達時間が数時間ほど開きがあります。
北海道や東北地方では2m程度の津波が押し寄せ、4〜6mに達したところもありました。関東・東海・近畿・四国・九州では1m位でしたが場所により2m程度、沖縄でも4mの所があったそうです。また、太平洋側だけではなく、太平洋側に津波が到達してから数時間遅れて日本海にも津波がやってきました。
この津波は、日本の沿岸部に大きな被害をもたらしました。死者・行方不明者は142名に上りました。
この地震により多くの家屋が倒壊し、道路や橋、鉄道などが被害を受けました。水道管が被害を受けて水道が止まったところもありました。交通網が被害を受けたため救助に向かうことができなかったというケースもありました。インフラの破壊は人々の生活だけでなく、救助活動への障害にもなるのです。
漁船の破壊や転覆、農産物への被害、養殖産業への被害は甚大で、津波を受けた畑は塩害を受け、農地として使えなくなったところもありました。
さらに石油や青酸カリの流出なども起こりました。(が、こちらは大事には至らなかったようです)
その後の津波対策
この津波は、日本の津波対策に大きな影響を与えました。当時は日本近郊の津波しか想定されておらず、津波が到達したときに津波警報が出されていた地域はありませんでした。その後、国際的な連携や予報技術の向上が進みました。また、防潮堤や防波堤の建設が進められることとなりました。
今回は1960年チリ地震津波をご紹介しました。
1960年チリ地震津波から60年が経ちましたが、その教訓は今も現代の日本に活かされています。遠方で起こった地震でも大きな津波が来る可能性があること、ときには6mを超える津波がやってくることを覚えて起きましょう。「遠くの地震だから大丈夫」ではなく、情報をよく収集し最後は自分で判断して避難することが大事です。自分自身や大切な人々の命を守ることができるように努めましょう。
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