長生きと健康に生きることは別
皆さんご存知の通り、国民皆保険制度や医療技術の進歩で日本人の平均寿命は年々伸びています。厚生労働省の発表によると平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。
一方、健康寿命とは、日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のことです。2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。
つまり2019(令和元)年では男性8.73年、女性12.06年、継続的な介護が必要になっているということです。
また、要介護状態になる原因としては、「高齢による衰弱」「関節疾患」「骨折・転倒」が約半数を占めているという発表がありました。
「要介護」というと認知症や大きな病気がきっかけとなるケースを想像する人も多いかもしれませんが、実は「歩けなくなる」ことから寝たきりになり、そこから筋力が衰えて自立した生活に戻れなくなることの方が多いのです。
ロコモーティブ症候群とは?
ロコモーティブ症候群とは、運動器の障害や衰えによって、歩行困難や要介護のリスクが高まる状態のことです。運動器とは、骨や筋肉、関節など、身体を動かすために関わる組織や器官のことです。
ロコモーティブ症候群の主な原因は、変形性関節症、骨粗鬆症、関節リウマチなどの運動器の疾患や、加齢に伴う筋力低下や関節可動域の制限などの運動器の機能低下です。これらの障害や衰えによって、立ち上がりや歩行などの日常生活に支障が出たり、転倒や骨折などの事故が起こりやすくなったりします。
特に更年期を迎えた女性ではホルモンバランスの崩れから骨粗鬆症になりやすく、膝を痛めやすい傾向にあります。一方男性は腰を痛めやすい傾向にあります。
足腰に痛みを抱えている状態では
・以前より外に出なくなる
・座ってばかりいる
・足の遅い自分が迷惑をかけると考えて友人とのつきあいを断る
などの傾向が現れてきます。これにより、余計運動量が低下して筋肉が衰え、最終的に要介護となってしまうのです。
筋力の衰えは要介護を引き起こすだけではありません。運動量の低下により、心疾患や糖尿病、生活習慣病気などの重大な病気のトリガーとなる可能性もあるのです。
「歳のせいで膝が痛い」「腰が痛い」
軽く考えられがちですが、そのままにしておくと実は要介護への近道になってしまいます。
ロコモーティブ症候群を予防するには?
ロコモーティブ症候群を予防するには、毎日の運動習慣とバランスの良い食生活が大切です。特に、下肢筋力やバランス能力を高める運動が効果的です。例えば、「片脚立ち」や「スクワット」などの簡単な体操を自宅で行うことがおすすめです。具体的にはこちらのサイトが参考になります。
こちらのサイトでは自分がロコモーティブ症候群かどうかをチェックすることもできますよ!
ロコモーティブ症候群は、早期に気づいて対策を取ることで進行を防ぐことができます。健康的で快適な高齢期を送るために、早いうちから予防に努めておきたいですね。
また、ロコモーティブ症候群は、自分だけでなく、家族や友人、職場の同僚など、身の回りの人にも起こりうる状態です。
身の回りの人がロコモーティブ症候群になると、自分にも負担がかかります。特に家族がロコモーティブ症候群になると、介護や家事などのサポートが必要になり、自分の生活や仕事にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、要介護度が進むと金銭的な負担も増すことになります。
ロコモーティブ症候群は、自分だけでなく、身の回りの人にも関係する問題です。身の回りの人がロコモーティブ症候群になっていないか早く気がついておきたいという気持ちを持ち、互いにサポートし合いましょう。
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